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塩化アンモニウム（えんかアンモニウム）は、化学式 NH₄Cl で表される白色の結晶性塩です。

1. 物理・化学的性質

• 結晶性：無色または白色の結晶で、粉末状に存在することが多いです。
• 水溶性：水に非常によく溶け、溶液は弱酸性を示します。
• 分解性：加熱するとアンモニア（NH₃）と塩化水素（HCl）に分解するため、温度管理が重要です。

2. 歴史的背景

塩化アンモニウムは、古くから「サルアモニアック」とも呼ばれ、天然に産出されるミネラルとして知られていました。中世以降、医薬品や工業原料として利用され、その用途は多岐にわたります。

3. 主な用途

医療・獣医学

• 尿の酸性化：塩化アンモニウムは、体内に摂取されると腎臓で代謝され、尿中に排泄される際に尿のpHを下げる（酸性化する）効果があります。これにより、犬や猫などのペットにおいて、アルカリ性尿が原因で発生しやすいストルバイト結石の予防や治療に役立ちます。
• 去痰作用：一部の咳止め薬にも利用され、痰を出しやすくする効果が期待される場合があります。

工業・化学分野

• 金属めっき：金属の電気めっき工程において、中和剤や洗浄剤として使用されることがあります。
• 半導体製造：特定のプロセスにおける化学薬品としても用いられ、製造工程での精密な反応調整に寄与します。

食品添加物

• 酸味調整剤：一部の国や地域では、食品添加物として使用され、食品の酸味や発酵促進のための成分として利用されることがあります。

4. 使用上の注意

塩化アンモニウムは適切な用量で使用される限り、安全性が高いとされていますが、過剰摂取すると以下のような問題が生じる可能性があります。

• アンモニア中毒：体内でアンモニアの濃度が上昇し、健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、用量の管理が重要です。
• 副作用のリスク：特に医療用途では、獣医師や医師の指示に従い、適切な使用が求められます。