猫の主な尿路結石の種類と予防のポイント
以下では、猫に多く見られる尿路結石である「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」について、それぞれの概要や形成要因、症状、そして予防と治療のポイントをまとめています。
1. ストルバイト結石
1.1 概要
- 成分:リン酸アンモニウムマグネシウム
- 尿の性質:アルカリ性の尿(pH7.1以上)で形成されやすい
- 特徴:猫の尿路結石の中で最も一般的
1.2 形成要因
- 食事:マグネシウムやリンを多く含む食事、アルカリ性食品の過剰摂取
- 尿pH:pH7.1以上のアルカリ性尿
- 猫の生活習慣:肥満や運動不足などがリスクを高める
1.3 症状
- 排尿困難、血尿、頻尿、尿閉塞など
- 尿閉塞は重篤な症状であり、早急な治療が必要
1.4 予防・治療
- 食事療法:特別な処方食を与え、尿を酸性(pH6.5前後)に保つ
- 酸性誘導成分:メチオニン、シスチン、クランベリーエキス、塩化アンモニウムなど
- 手術:結石が大きすぎる場合や溶解が難しい場合は外科的除去
1.5 予防
- 定期的なpHチェック:尿pHを6.5〜6.9の弱酸性域に保つことが理想
2. シュウ酸カルシウム結石
2.1 概要
- 成分:シュウ酸とカルシウムが結合
- 尿の性質:過度に酸性(pH6.4以下)で形成されやすい
- 特徴:食事療法では溶解が難しい
2.2 形成要因
- 尿pH:pH6.4以下の強い酸性尿
- ストレスや運動不足:形成に影響する可能性あり
2.3 症状
- ストルバイト同様に、排尿困難、血尿、頻尿、尿閉塞などを起こす
- 重篤な場合、尿閉塞が発生
2.4 予防・治療
- 食事療法:結石の予防にpHを6.5〜6.9に維持する食事が推奨
- 手術:食事では溶解できないため、多くの場合は外科的に除去する必要がある
2.5 予防
- 尿pHの定期的測定:理想的にはpH6.4〜6.9の範囲
- pHを調整:マグネシウムやカリウムなどの成分でアルカリ側に寄せることも考慮
3. 結論と共通のポイント
- 尿pHの管理
- ストルバイト結石はアルカリ性(pH7.1以上)で形成されやすい
- シュウ酸カルシウム結石は酸性(pH6.4以下)で形成されやすい
- 両方の結石を予防するには、pH6.5〜6.9程度の弱酸性を維持することが効果的
- 生活習慣・食事の重要性
- バランスのとれた食事と適度な運動は、結石形成リスクの低減につながる
- 尿pHを適切に保つため、処方食やサプリメント(酸性化またはアルカリ化成分)を活用する
- 定期的なモニタリング
- 自宅でpH測定器を使い、尿のpHを定期的にチェック
- 結石ができやすい猫は定期的に獣医師の診察を受け、尿検査や超音波検査を行う
まとめ
- ストルバイト結石:アルカリ性尿で生成されやすいが、食事療法で溶解が可能
- シュウ酸カルシウム結石:酸性尿で生成されやすく、溶解は困難で外科的除去が必要な場合が多い
- 共通予防策:尿pH6.5〜6.9を目指すこと。家庭での尿pH測定・管理、適切な食事・運動が大切
これらのポイントを押さえて、愛猫の尿路結石を予防・管理してあげてください。定期的な健康チェックと獣医師のアドバイスが不可欠です。